注文住宅の設計を行う場合、他の設計を行う以上にオーナーと設計者である私共が共通の認識を持つことが一番大事なことと考えております。私共にとって建物が出来上がってから、オーナーに「えぇ こんなもの！」とか「私は素人だからわからなかった！」などと言われるのはたいへんつらいものがあります。

この物件は神戸市内でも三宮の繁華街より少し外れた場所、周辺には動物園や美術館、学校などがある大通りから1本、内に入った住宅地にこの敷地はありました。住宅地といっても、周りは古い家が建ち並んでいて、また前面の道路は狭く、坂道になっており、さらに敷地は道路より２ｍ以上高くなっており、はじめてこの場所に来た時、私は非常に閉鎖的な感じを受けました。

今回、この建物を計画するにあたって、このように感じられる景観を一掃するにはどのような外観にすればよいかという課題をもって、設計に着手しました。
もちろん、法的な道路斜線等の高さの制約もクリアする必要がありますし、施主に対して説明をし、納得をいただく必要もあります。
こちらの考えを施主に強引に押し付けるのではなく、CGにて完成予想図を作成し、またメーカーのショールームに出向き、使う材料の質感や色合いを確認しながら設計を進めてまいりました。
内装関係についても同様で、各部屋の内観完成予想図の作成、ショールームで確認、この繰り返し行ってまいりました。
また、設備関係は、施主より「老後を考えて、廊下も浴室もトイレも家の中全て同じ室温(湿度)にしてほしい」という要望で、２４時間セントラル空調を採用したり、近い将来のことを考えて、インターネットでの映像配信を考慮したホームシアター、電気自動車に対応できるガレージ、太陽光発電など、盛りだくさんの内容でお引き渡しができました。